平成18年度 狩猟日記
− 大分県内での狩猟報告 -



出猟日 11月23日 (日曜日)
時 間 10:30〜14:00
場 所 県南 B林道地区
猟法 単独流し猟
天 候
使用銃 Remington M870 (1.5-6倍スコープ)
銃身 20in・1/2ライフル
使用弾数 32g 3号 2発 
猟 果
アカヤマドリ 1羽 

 シカ狙いで出撃しているが未だに収穫がない。山に入らなければチャンスはないので、今日も夜勤明けの体に鞭打って出撃である

 朝マズメ?の時間は過ぎたが、小雨が降っているのでチャンスは充分にある。だが、偵察時からいつも見かける一級ポイントでは出合いがない。山頂に近づくに連れ霧が深くなり、少々諦めムードで次のポイントへ移動していると、道ばたに大きな物がうっすらと見えた。車を止めて観察していると、クジャクのような長い尾を持っている!ヤマドリのオスだ!たそがれていたヤマドリも此方の殺気を感じたのか道路下の草むらへとポテポテ歩いていく。公道から発砲する訳にはいかないので、少し離れた道路脇に入り込み銃袋を剥ぎ取って鳥弾を装填する。1/2ライフリング銃身&スコープ付きという鳥撃ちには最悪の組み合わせだが、仕方ない。これに賭けてみる。霧と雨音でこちらの気配は上手くごまかせたようで、少し進むと獲物は直ぐに発見できた。先ほどと同じように「ぼやー」っとしている。スコープのドットを体の中心に合わせて発砲!銃声と共にガクンと体勢を崩したが、転げるようにして下に降りていく。走って近づき二の矢を発砲!これで完全に沈黙した。

顔はキジだけど・・・

 捕獲した獲物はヤマドリの亜種「アカヤマドリ」である。主に九州北部地方に生息しているらしい。ヤマドリは今まで一度だけしか見たことがない。山にキジバト撃ちに行った際、谷下から飛んできた。頭上を飛ぶその姿は赤い十字架の様で、鳳凰かと思うほど美しい姿であった。銃を持って装填していたが、矢をかけることを忘れ見入ってしまった覚えがある。手にしてビックリであるが、この尾羽の長いこと長いこと・・・ こんなに長い尾羽を持っていて山の中では不便そうな感じであるが?

ながーい尾羽

 雨も本降りになってきたし、全身ずぶ濡れであるので撤収することにした。鹿が随分と小さい獲物になったが、初めてのヤマドリと言うことで、とても嬉しい。現場で腸だけ処理して帰る事にする。

 帰宅後、剥製にしても飾る場所はないので普通に処理した。尾羽は立派なのでアルコールで殺菌し、保管する事にしたが結構邪魔かも・・・ 解体すると、そ嚢にはシイの実がたくさん詰まっていた。

そ嚢から出てきたシイの実

 胸肉が異常に発達しており、かなりの肉量である。ドラミングをするためだろうか? キジはもも肉が凄かったが、それとは比較にならないほどの発達具合だ。身は白身で上品な感じで、心臓・肝臓・砂嚢を塩胡椒で串焼きにした所、癖が無く上品でとてもウマイ! ただ、残念なことに両股共に被弾し激しく損傷していた。これは極至近距離から5号弾のつもりで撃った弾が実は3号だった為である。

 この付近にヤマドリが多いことは鹿猟の師匠JUN氏から聞いていたのだ。彼はエアライフルの使用(鹿にプレッシャーを与えないため)を考えていたが、2丁も持ち歩く余裕のない私は散弾一丁で山に入り、3発だけ鳥用の弾を持っていたのである。しかし両股を撃ち崩してしまうくらいならエアライフルで頭を撃ち抜いた方が良かった _| ̄|○



出猟日 12月6日 (水曜日)
時 間 07:00〜07:45
場 所 県南 B林道地区
猟法 単独流し猟
天 候 晴れ
使用銃 Remington M870 (1.5-6倍スコープ)
銃身 20in・1/2ライフル
使用弾数 FEDERALサボットスラグ 1発 
猟 果
オス鹿 1頭 
 実は解禁初日に3頭獲物を補足し発砲までできたのだが、初めてのチャンスにとても焦っていて失敗ばかりで外してしまった。その失敗は獲物との距離50mほどでスコープの倍率を最高の6倍にしたままだったので、視野が狭く獲物を捉えることができない。捉えても焦って大慌てで撃ったので当たらない。といった感じで、落ち着いて最適の倍率で撃てば初矢で倒せたはずである。よって本日はスコープの倍率は2倍にし、とにかく落ち着いて行こうと思う。

 いつものように日の出と共に林道をゆっくりとジープで走る。前にJUN氏より教えてもらったポイントを丁寧に攻めていく。だが、一番の本命ポイントで出合いがなかった。そのまま登っていき、本命ポイントの上に出てきた。今日もダメかと溜息をついた時、右の視界に違和感を感じた。よく見ると一頭のシカがこちらを見ている!

 すぐに車を止めエンジンを切り、銃を掴んでシカを刺激しないように外に出る。2mほどの段差をよじ登り、数メートル先の杉の根本にうずくまる。この時獲物は斜面を少しかけ登ったが、また停止して振り返りこちらを見ている。音を立てないように銃袋を剥ぎ取りサボット弾2発を装填。スコープのカバーを跳ね上げて狙いを付ける。

使用しているスコープのレティクル

挙銃するときに素早く動いてしまってシカが逃げ出した!レティクル中央に輝く赤い点で駆け上がる鹿を追いかける!充分射程内なのでチャンスを狙う。左に方向転換をするときに一瞬動きが止まった!反射的に発砲!銃が跳ね上がり視界からシカが消える。再び見ると地面には茶色いカタマリがあった。

あ、当たった!

すぐに排莢して全速で斜面を駆け上がる。そこにはすでに息の無いシカが横たわっていた。腰の剣鉈を抜き心臓を刺す。そして頭を低くして放血を促す。

中央部左、杉の根元に横たわっている

ここでやっと「本当に獲れたんだ」と実感が沸々と湧いてきた!

うおー! やったー!!
山の神様ありがとーー!!

動かなくなった鹿(放血中)

 ロープもデジカメも車の中に置いてきているので取りに戻る。ついでにレンジファインダーを持って発砲地点から獲物までを計測すると、42m!スコープの倍率設定2倍はベストの選択であった。これ以上の高倍率だと逃げるシカをスコープ内で捉え続けることは難しかっただろう。

小さな角がある(一歳のオス)

獲物の所に戻ると少し観察する。メスだと思っていたが(ここはメス鹿可猟区域)小さな角があるので間違いだったと気付いた。とても若いので小振りだが、とても綺麗な体をしている。腹の毛皮なんて純白で眩しい位だ(笑) トロフィーになる大物よりも肉の軟らかい若いシカを捕りたかったので希望通りの個体に巡り会えた。また、弾はほぼ正面に近い左前から入り肺を破壊した様だ。カモと同じ白とピンク色の肺の組織片が傷口より血と共に出てきた。弾が抜けた後は無いので体内で止まっていると思われる。

放血中

 さて、余りのんびりしている暇はない。早く内蔵の摘出と冷却を行わねばならない。

左前部(ほぼ正面)に着弾

後ろ足を持って高く上げても血が出なくなったので放血完了!首にロープを絞めて斜面を引き下ろす。

運搬中

獲物が小さいのと、地面が杉の葉で覆われているので滑るように降りていく。

林道に降りた

林道への段差で落とさないようにロープで吊りながら優しく着地。ここまで来れば後は車に乗せるだけ、初の四つ足なので記念撮影を行った。

記念撮影!

ジープの助手席から荷室にかけてブルーシートを敷き、血&ダニが出てこないように巻いて解体場へと移動する。もし獲れたときのことを考えて解禁前から目を付けていた場所である。

 手頃な木に滑車を固定し、鹿の後ろ足に切れ目を入れる。ハンガーのお化けのような吊り器をセットして引き上げる。滑車のアシストと獲物が小さいのでとても楽に吊り下げることができた。ここからは今までの経験&エゾシカ衛生処理マニュアルを思い出して解体を始める。


この為に取り寄せたHoist and Gambrel

最初に腹を開けて、すべての臓器を摘出。心臓や肝臓などはビニールに入れて谷川に浸けて冷却保存する。本体も深みに浸けて冷却する。しばらく休憩して充分に肉が冷えたら再び吊り上げ足から皮を剥いでいく。北海道の役所が作った処理マニュアルにあるように上手いこと皮が反転して肉に触れることがないようにする。

皮が反転するように剥いでいく

吊り下げて作業がしやすいし、上手いこと皮が剥げるので肉に毛が付着する事もなく、綺麗に剥皮完了!大物解体用に新しく作ったナイフは実に使いやすくいい感じである。

解体に使用した自作ナイフ(鋼材はクロモ7)

 枝肉となったら、背ロース・前足・後ろ足・アバラに分けて袋に保存。中に水が入らないように注意して谷川で冷やす。

心臓(右に見えているのは腎臓)

結構大きな肝臓

シカタン(舌)

ココまで来れば終わったも同然だ。心臓を開いて中の血を出して洗ったり、頭部からタン(舌)を摘出したりして解体終了!

 カモ肉に換算すると何百羽分あるのだろう?というほど大量のお肉を獲ることができた!弾頭は残滓の中に混ざっていると思われるが残念ながら探しても発見することはできなかった。

こんな包みが沢山できた!

 今回初めての四つ足単独捕獲であったが、事前に充分な用意をしていたので滞り無くすべてが終わった。狩猟を始めて5年目という節目の年に大物を獲ることができ本当に嬉しい。お肉になってくれた鹿に感謝である。そして何よりも、猟法やポイントなど丁寧に指導してくれた地元のプロのハンターであるJUN氏のおかげである。本当にありがとうございました!

どうやら、今回の経験のおかげで単独大物猟の魅力にすっかり魅了されてしまったようだ。いいね!大物猟!



出猟日 12月9日 (土曜日)
時 間 08:00〜16:00
場 所 宮崎との県境付近
猟法 巻き狩り
天 候 曇り時々雨
使用銃 Remington M870 (1.5-6倍スコープ)
銃身 20in・1/2ライフル
使用弾数 なし 
猟 果
オスイノシシ 1頭 
 今期2度目のグループ猟である。本日はM師匠は参加できないとのことで、一人でやって来た。無線で連絡を取り合い途中のコンビニで無事合流!それぞれに猪の痕跡を探して散っていたようである。よい場所があるようなのでそこへと移動開始。右も左も分からない状態なのではぐれないように付いて行く。小さな広場で全員が揃うのを待ち、作戦会議。現在地点より北東側に位置する小さな山がターゲットだそうだ。各自の待ち(獲物を待ちかまえる場所)を決めて持ち場に移動する。

 私は山の南側にある赤い鳥居が見える田んぼへと配置された。見晴らしがよいので山から出てくる獲物は丸見えのポイントである。各自が持ち場に着いたことを確認し、勢子さんが犬と共に山に入る。自分の待ちからすぐ近くなので様子が丸見えである。犬は凄い早さで移動しているのがチラチラ見えるし、勢子さんの移動速度もかなり速い。スイスイと山の中を登っている!あっという間に見えなくなり、犬の付けている鈴の音も聞こえなくなった。コッソリと獲物が逃げないようジッと周囲を警戒する。と、犬が鳴き出したと無線が入る。だが、私の位置からは何も聞こえず、風で木々がざわめくのみである。勢子さんから犬が私の方へと鳴いていると無線が入った!緊張してると程なくして犬の声が聞こえてきた!しかも段々と近づいてきているのである。遠くのシダが揺れているのが見え、スコープで確認すると一瞬犬が見えた。獲物はまったく見えない。犬はしばらくすると山を上がっていき、声も聞こえなくなった。それから無線も入らなくなり静かな時が流れる。雨もポツポツ降り出してきた。山の反対側のようで時折無線が入るが、聞こえない部分も多い。

 不意に捕獲完了の連絡が入る。銃声も何も聞こえなかったので本当に驚いた。搬出するから早く来いとの命令が入る。小走りで朝集合した地点から北へと進む。しばらく行くと軽トラが止まっており、向こうの斜面から掛け声が聞こえてきた。田んぼを2枚ほど乗り越えた先の笹藪の中で皆が獲物を引きずり出していた。交代してエンヤコラとロープを引き軽トラまで運んできた。

牙が小さいので若いオス

 獲物は良く太った若いオスである。実際にこの様な大きなイノシシを見るのは初めてなのでかなり嬉しい。

首を貫通して足に突き刺さったスラグ弾

 足に何か付いているなと話していたら、触るとポロリと落ちた。止めに撃った弾が首の上から貫通して足に突き刺さっていたのだ。珍しい事もあるモンだ。

丸々と太っている

 イノシシを軽トラに乗せ共に揺られながら最初集まったポイントに到着。皆も集まりお昼になるので各自お弁当をたべて休憩。私はおにぎり食べながら初めて見る大きなイノシシを観察する(笑) ちょうど軽トラの荷台の幅あるので、全長は約150cm。体重は80kg位だろうとの話しだ。大きい!

12番装弾との比較

 第二部は、まだ他のシシの足跡があるということなので奥から掻き回したが不発。獲物は捕れなかったが、竹の中を進む小さな犬の足音でも結構大きな音がすると勉強になった。バキバキと良く響き獲物かと緊張した(笑)

 15時をまわったので本日はしゅーりょー。通称「D」と呼ばれるポイントへ移動し獲物を解体。平等に分配して帰路についた。



出猟日 12月10日 (日曜日)
時 間 08:00〜15:00
場 所 宮崎との県境付近 (メス鹿可猟区域)
猟法 巻き狩り
天 候 晴れ
使用銃 Remington M870 (1.5-6倍スコープ)
銃身 20in・1/2ライフル
使用弾数 FEDERALサボットスラグ 4発 
猟 果
オスイノシシ 1頭
オス鹿 1頭 
 昨日に続いて今日もグループ猟である。師匠の家にジープをデポし、軽トラに乗せて貰い猟場へとやって来た。

 現地ではすでに皆で「見切り」を行っており、我々も無線で連絡を取り合い獲物の痕跡を探す。師匠に付いて見て回るが、足跡を見るのは実に難しい。そんなこんなしていると、場所の特定ができたようだ。ポイントDへ集合するよう連絡が入った。

 このDポイントから南西側の山に大きなイノシシが入っているらしい。山をぐるりと囲むように配置場所を決めていく。私は車無しなので150mほど先のポイントへ配置された。ここは目の前まで竹林と笹が生い茂っており、そこに太い獣道が通っている。脇に田んぼがあるがここは通らないだろうとの事で獣道の脇にジッとして待ちかまえることにした。全員の配置が完了し、犬が投入された。勢子さんと犬は尾根を上がっているようで笛の音がたまに聞こえる以外はとても静かである。軽く犬が鳴いたが獲物には付いていないと無線が入り、ジッと周囲に気を配りながら待機する。

 開始から2時間ほどたった。犬は鳴かず獲物は捕捉できていない。無線によると勢子さんは西側の谷に行っているようだ。不意に竹林からバキバキと竹を踏み割る大きな音がしてきた!人間は居ないはずであるが用心して待ちかまえる。心臓がバクバクと激しく動悸し喉から出てきそうである。犬の鳴き声はしないが、音源は人が歩くようなスピードで確実に私の方に向かってきている。緊張して挙銃しているとすぐ目の前までやって来た。距離は5mを切ったが笹に阻まれ姿は確認できない。直前の小川を渡っているようだ。万一、人間だったら大変なので「獲物を見て発砲」だが緊張してガクブルで銃口は震える。

音源は笹の切れ目直前で一旦停止し、いきなり真っ黒い大きな塊が凄い勢いで真っ直ぐこっちに飛び出してきた!! 

ぎょえっ、、ちょっ!!
qあwせdrftgyふじこlp


音源がイノシシであることは確認できたが、目の前から予想以上に大きな物体が飛び出して突っ込んで来たのでパニックである!ろくに狙いもしないまま発砲!イノシシもいきなり現れた人間が撃ってきたのでパニクっている。二の矢は走っている所を撃ちスカ! 反対側の崖を登って逃げようとするのを阻止するため三の矢を発砲!これは足元に着弾するのが見えた。イノシシは今度は向きを変え田んぼの方に走っていく。全弾撃ち尽くしたのだが、カウントなんかしていないので狙ってそのまま引き金を引くが当然弾は出ない。慌てて装填するが焦って弾を落としてしまった。弾帯からさらに一発抜き取り薬室に放り込みブッ放すが当然ハズレ・・・

あぁ、、、もうボロボロだ _| ̄|○
無線で逃走方向を伝えてその場にへたり込む・・・


 逃走したイノシシは、ちょうど山を挟んだ向かいにいた師匠がバッチリと仕留めてくれた。その後さらに師匠が散歩中の鹿を一頭追加して本日は終了となった。倒れた竹や杉があり搬出に苦労したが何とか回収完了。本部に戻って解体する。

大きくて鋭い牙!

イノシシは80kgのオスであったが右の手首から下が切断されていた。「くくり罠」に一度掛かり手首を引きちぎって逃げたのだろうと言うことであった。片手がなかったので崖を登る際にもたついたりしていたのであろう。通常よりも発砲チャンスがあり絶好の獲物であったのに4発も撃ってかすりもしなかった自分が情けない・・・ 少し離れたところにいた人によると、発砲音はまるで機関銃のように聞こえたらしい・・・


本日の敗因
 ・距離2mにスコープは要らない。1.5倍でも視野が狭く高速で超至近距離を移動する獲物には全く使えない。
 ・パニックなったのが最大の原因。焦って撃つ鉄砲は絶対に当たらない。
これを踏まえて
 ・スコープなんて外してダットサイトかオープンサイトに変更。スコープは単独シカ猟の使用のみにする。
 ・いかなる時も冷静に判断し行動できるかが肝心。

今日は完全に失敗したが、イノシシと超至近距離で出会って多くを学んだ。この失敗を踏まえて次回からは確実に行動したい。あと不出来な弟子の尻拭いをしてくれた師匠に感謝!!