平成25年度 狩猟日記 その3
−大分県は猟期延長、全域でメスジカ可猟・頭数無制限 -



出猟日 1月25日 (土曜日)
場 所 祖母・傾山系
猟 法 グループ猟
使用銃 Remington M870(EOTech ホロサイト)
銃 身 20in・1/2ライフル
使用装弾 リロードLyman 525gr 自作サボットスラグ 1発
猟 果
イノシシ 1頭
他にグループで イノシシ1頭・シカ3頭


毎年正月の恒例行事である大山捕獲大作戦であるが、今年はメンバーの日程があわず延び延びになっていた。ようやく調整がつき、出撃することになった。これは年一回やるかどうかの大イベントだ。毎回獲物が多く出るので、装弾も通常より多く体中に縛り付けてきた!重いが弾不足にはなりたくないので仕方ない。南側ラインを守るのは、私を含めた猟師4名と、視察のお客さん(大学の先生)1名を合わせた5名小隊で通称「滝」を守ることになった。一番高い位置はM師匠の一八番であったが、今年から私が拝領することになった。担当場所までの移動に時間のかかる我々は、先発隊として勢子長宅を出発!酷い山道を軽トラで進み、途中でデポして歩く。

最初の待ちポイント到着。ライフルマンのM師匠は病み上がりであるので一番下のこの広いエリアを担当する。次は滝を上がったところに元陸上自衛隊レンジャー隊員のNさん、そして抜けられるウジが新たにできているので、飛行機パイロットのSさんで、それから100mくらい上がったところで私が待つ。

上まであがる若い衆は元気いっぱいでサクサク進む。私もOFFは登山でがっつり鍛えたので余裕だ!滝の上からさらに上る際、移動音源3つが麓の方に行った。恐らく鹿であろうが、姿が見えない。無線で移動方向の待ちへ注意するように打電して上を目指す。

無事に山頂直下の待ち付近に着いたが、M師匠のいう大きな木と平たい石が見つからない。周りは似たような景色で、落ち葉に覆われ指定場所が分からない。先生も一緒にキョロキョロするが発見できず諦めた。辺りを観察し、数本のウジがはっきりと見える。それらが合流し1本のウジになるのを確認。頭の上の尾根直下にもウジがあるので、すべてが見える位置を確保。ちょうど大岩がテーブルのようになって目の前の木がブラインドとなり、獲物からは気づかれそうにない!この場所で待つことにした。

待ちからの視界


犬を放すまで、まだ時間がありそうなので、先生と尾根筋まであがる。PM2.5の影響でかなり霞んでいてきれいに見えるはずの久住連山がぼやけている。阿蘇の根子岳も霞んでしまいそのギザギザっぷりがよく分からないのが残念だ。少し散歩して尾根筋の待ちGさんと遭遇。互いの位置をと獲物の痕跡等状況を連絡しあって、元の待ちに戻る。

受け持ち場所に戻りきるすぐ手前で、「獲物がでたぞー」と入電。急斜面を降りているところだったので、残り30mほどだが、スニーカー履きの先生にはその場でじっとしてもらい、私が大急ぎで元の待ちに向かう。戻って即薬室を閉鎖!どこから飛び出してもおかしくないので緊張して全集警戒。すると 遠くの方からパサパサと枯れ葉を踏む音が聞こえてきた。予想どおりのコースを来ている!安全を解除し予想地点に銃口を向けていると、丸まるとしたイノシシが現れた!即、頭に狙いを付けて発砲!一発でゴロゴロと転げ落ちた!後続がないことを確認し、無線でイノシシ一頭捕獲を打電しながら獲物に駆け寄る。起き上がれない事を確認し、足をつかんで鎖骨の間から放血。

動画より発砲する瞬間のイノシシ

すぐに犬たちがイノシシを追いかけてきたが、追い戻して一息。先生に見えたか尋ねると、動いている獲物は途中まで見えたが、発砲の瞬間は木に隠れて見えなかったという… 残念。

GoProで撮影

山の反対側では鹿が沢山出ているらしく、銃声が響きわたる。だが我々の滝の待ち方面にはぜーんぜん来ない。一番下のM師匠が数発撃つのが聞こえただけだ。 結局私の所には、最初のイノシシ一頭だけしか現れずに終了。獲物を引きずって下りると、M師匠は小ぶりのイノシシ一頭を仕留めていてた。

今回は激しく不完全燃焼である。数年前のように、鹿の団体さんがバンバン現れると期待していたのに残念。リベンジをしたいが、グループが高齢化しているので、今後この山ができるかとても微妙だ・・・ 若い猟師が入ってくれないとな・・・





出猟日 1月26日 (日曜日)
場 所 祖母・傾山系
猟 法 グループ猟
使用銃 Remington M870(EOTech ホロサイト)
銃 身 20in・1/2ライフル
使用装弾 リロードLyman 525gr 自作サボットスラグ 2発
猟 果
イノシシ 1頭
他にグループで イノシシ3頭


午前中にあまり獲物がでなかったので、ポツンとそびえ立つS山を攻めることになった。私は当然一番高い場所に派遣される事になったので、車を止めて尾根沿いに登っていく。中腹より少し手前に通りそうな場所があったのでKGさんに待ってもらい、私はさらに上を目指して草をかき分けながら登る。

胸を突く様な急坂を二回登って、事前の打ち合わせで聞いたそれっぽい場所に到着。周囲を観察すると、いくつものウジ(獣道)があり、おおよそ一カ所に集まってきている。低木が茂っており発砲しにくいが、隙間を縫って撃つしかない様だ。

待ちに着いた旨を打電して、装填して一息。勢子さんが麓の方から犬を入れたようだ。視界はないが、犬の鳴きは良く聞こえる。すぐに獲物がでた様で鳴きが変わった!パンパンと発砲音が響き無線が賑やかになる。複数の獲物が出て、何カ所にも犬が分かれて追っている様だ。畑の中を突っ走って逃げる獲物に皆が撃っている様だ。賑やかで羨ましいが、私の所には何も来ないし、何も見えない・・・

下のKGさんが数発発砲した。イノシシが現れたらしいが、囲いを抜けて逃げられてしまったらしい。残念。

また麓の方でワイワイやっているが、私の足下の方で何か気配がする様な気がした。GOPROを録画モードにし、息を殺して待機しているとイノシシがヒョッコリ現れた!警戒しながら登ってくるが、止まって私の方をジッと見ている。木の隙間で正面を向いており、面積が狭く発砲は難しい。完全に目があって見つめ合った!ヤバイ動けない!いきなり目を逸らしたら逃げられそうなので、視点を合わせないようにして気配を消す。ありがたいことに、そのまま登り始めた!このチャンスは逃すわけにはいかない!横を向いてバイタルエリアが一瞬見えると同時に発砲!バッチリと手応えがあったが、急斜面を落ちて獲物が見えない。無線で「イノシシ1頭、発砲するも着弾不明。確認に動く」旨を打電。急登を注意しながら降りる。

途中で血痕を発見し、下の方を見ると黒い固まりがピコピコ動くのが見えた。どうやら前足が動かずに急斜面で木に引っかかった様だ。近くまで下りて頭をねらい止め矢を一発撃ち込むが、着弾がずれて下顎に当たり砕いただけで効いていない。噛みつかれる心配もなくなったので、剣鉈を取り出して心臓に止めを刺して終了。頭を下にして放血を促す。

GOPRO捕獲動画

無線で無事確保を打電すると、この場所は終了となった。急斜面なので、元来た道を引き上げるのは不可能。このまま無理矢理下に引きずり下ろすことにした。視界がないので、麓のピックアップ地点で声を出してもらい、その声を目指して降りる。途中でKGさんが合流して二人で引き下ろし始める。急斜面なので、結構さくさくと降りてなだらかになった頃、麓から来た勢子のGさんも合流。引きやすい方向へと誘導してもらう。

途中で、先頭でルート確認をしていた二人が声を上げた。10mほど先に赤毛のシシが居て逃げたという。二人とも脱包しているので撃つことはできず、逃走方向も皆外に出ているので諦めることにした。40kgくらいの赤シシだったという。まぁ、欲張らずにまた今度チャンスがあるさ!

イノシシが合計4頭捕れたので、少し早いが本日は終了となった。解体も明るい時間に終わり、帰るのも早くて帰路の無線通信で「これくらい余裕を持って終わるのがいいなぁ」と一同の意見が一致した。私も早めに終わり、おまけに土日続けてイノシシを撃ち止めたので満足な週末であった。





出猟日 2月9日 (日曜日)
場 所 祖母・傾山系
猟 法 グループ猟
使用銃 Remington M870(EOTech ホロサイト)
銃 身 20in・1/2ライフル
使用装弾 リロードLyman 525gr 自作サボットスラグ 4発
猟 果
イノシシ 1頭
他にグループで イノシシ1頭


本日は日頃あまりやらない隣町との境をやることになった。国道と川に挟まれたひょろ長い山の中だ。私は谷に3名で入り、中間地点を守ることになった。

山の上の方から勢子さんが入ってすぐ、犬が鳴き出してこちらへ下ってくる!上にいたGさんより私の方に猪が幾つか行ったとの無線連絡!緊張して待機していると、小川の中を走って下ってくる親子の猪を視認!安全を解除して狙いをつけ発砲!正面の斜面を登りだしたので全弾撃ち込み、カウント忘れてたのでカチンと空撃ちし、慌てて再装填。さらに無線で逃走方向の待ちに連絡する。


GOPRO捕獲動画

親は無事止めたが、子供3頭に逃げられてしまった・・・ その後、逃走方向の待ちも逃げられてしまったようだ。まぁ、5kgくらいの模様が消えたウリ坊だったから惜しくはないけどね〜

その後、勢子さんが100kg近くもある大猪を山中で仕留め、皆で大汗かいて苦労して引き上げこの日は終了となった。いや〜、疲れた…




出猟日 2月22日 (土曜日)
場 所 祖母・傾山系
猟 法 グループ猟
使用銃 Remington M870(EOTech ホロサイト)
銃 身 20in・1/2ライフル
使用装弾 リロードLyman 525gr 自作サボットスラグ 12発
猟 果

シカ 3頭
他にグループで シカ4頭


40年ぶりという、ものすごい大雪で道路は通れず猟どころではない状態が2週間続いた。交通がマヒし、ビニールハウスの倒壊など各地でかなりの被害が出た。勢子長も重機を使って除雪作業を行い、集落が陸の孤島となるのを防ぐため連日大変な労働をしていたようだ。

「この週末は大丈夫だからおいで」と電話をもらい久しぶりに来てみると、雪はまだ残っているが何とか猟が出来る状態だ。いつもの地下足袋だと凍傷になりそうなので、歩きにくいがスパイク長靴を装備する。

林道は未だに通行できないところが多いので、少し歩くが比較的アクセスの良い通称「ライスセンター」を攻めることになった。私は当然一番高い場所に配置されるのだが、幹線道路から一歩入ると雪がゴッソリと残っておりノーマル夏タイヤの我々軽トラはけっこう難儀する。四駆ONにして、随所でデフロックをONにして何とか進むが、腹がつかえてダメだ。途中で車を乗り捨てて歩き始める。

私が守る北側ラインは4名で麓から尾根まで要所に配置していく。私はもちろん一番高い尾根までなので汗だくになりながら登った。やはり山の上は吹き溜まりだと太もも付近まで雪が積もっており、雪に全く慣れてない私はとても苦労する。何とか一番高い尾根に到着し、無線で北側準備OKを打電。銃口に雪が入ってないか確認して装填。


ここまでの雪はかなり珍しい

勢子さんが犬を入れて少し右の谷で発砲音!鹿がでてきて撃ったが半矢で奥に走ってしまったとの事である。一応上の方へ警戒するようとの事だが、奥山に向かったのでダメだろな。

登ってきた方向で発砲音!鹿数頭が出たらしいが、走っていったらしい。私も僅かに黒い影がチラリと見えたが、矢先が確認できないので撃たない。少し追いかけたが、ブッシュが深くなり雪で足が取られるので追跡は諦めた。元の位置に戻るが、少し尾根の鼻先まで出てみることにした。少し歩くと見覚えのある場所に出た。この辺なら周囲をよく知っている。先の坊主には鹿の寝屋がいくつもあったし、足元には水路がある。待ち場を少し前方に移動した事を皆に無線で通知。ここで待つことにする。

耳を澄ましていると、後ろで気配がした。振り向いてみると鹿が立っている!鹿も気がついて反転して逃げようとするが、すぐに狙いをつけて2発発砲!前のめりに倒れ込んだ。息があるようなので頭を狙って発砲!完全に止まったようだ。1発は尻。もう一発は左後ろ足を打ち砕き、大動脈を破壊したようで凄い出血だ。雪の中で獲物を撃ったのは初めてだが、雪の白さに赤い血がとても目立つ。ここで頭につけたGoproを録画してないことに気がつき、撮影開始。不意打ちだからカメラ回してないよな


一頭目捕獲動画 (雪なので血が鮮明で閲覧注意!)


観察すると、左前肩に銃創がある。どうやら最初に右下の谷で撃ちかけた獲物が尾根伝いに戻ってきたようだ。最初に撃ちかけたIさんに、半矢にした鹿を止めたと連絡。元の待ち場に戻る。

勢子さんは、ぐるりと回って北側まで来た。犬の鈴音が微かに聞こえるが、違う移動音が同じ方向から上がってくる。注意深く観察していると、鹿だ!距離50m。私の前を左から右へ横切るコースだ。挙銃して木々の間を縫うタイミングで発砲!一発で転げるのを確認!! 近づくと動いているので頭に止め矢を発砲。無事止まったので放血する。


2頭目 GOPRO捕獲動画

犬や勢子さん登場。この場所は混ぜたので、獲物を回収して次の場所に移動することになった。私の場所には2頭倒れているので、応援を呼んで一頭は任せる。私は大きい方を引っ張って、南側斜面を降りる。こっちの方が雪が少ないし車まで急斜面を一気に降りられる。走って降りれるのであっという間に車まで出せた。登ったら30分だが、走れば5分だww
元レンジャー隊員Nさんの車に同乗させて貰い、私の車まで送ってもらう。その後勢子長の家にて集合し、昼食&作戦会議。

次は今やった向かいの狭い場所をやることになった。私が任される場所は2名で待つ。午前中は大きなオスジカを止めた場所らしい。ちょうど獲物が出た場所に一名。さらに奥に入った場所に私が待つ。
勢子さんが入って暫くは動きがなかったが、犬の鈴の音が聞こえてきた位でいきなり鳴き出した!緊張して待機していると、「池の方角に獲物が向かった」との連絡。鹿が一頭、予想地点よりも奥に飛び出してきた。すぐに挙銃して2発撃ち獲物が倒れるのを確認。無線で止めた旨を打電して近寄る。後ろ足が動かないようだが、前足で這って逃げようとする。頭を狙って止め矢を数発撃つがピコピコ動くので当たらない。近寄って発砲してゴロリと返って終了。すぐに放血する。


3頭目 GOPRO捕獲動画

他に出ないので本日は終了。
獲物を集計すると鹿ばかり7頭の捕獲数となった。


シカばかり7頭捕れた

雪の中の猟であったが、無事に終わって何よりである。勢子長のビニールハウスが、雪の重さで完全にペシャンコになっていたのが印象的であった。とにかく被害の大きかった大雪だが、40年ぶりらしいので暫くはこんな経験はないだろう。